*この連載は、「クラウドバックアップとは?」をテーマにバックアップやクラウドの基本から使い方までを分かりやすい内容でお届けします*


AOSグループでは以前から「情報社会において、データはコメである」という言葉を使います。コメは、今でも日本人の主食です。さらに、前時代においては、藩の経済力や武士の給金として使われていました。まさに、生活のなかの一部となっていたかと思います。もし、コメがなかったら… そんな世界を想像するのは、とても難しいかと思います。
情報社会、IT化された現代社会において、データはコメと同じようなものであり、もし、データがなければアプリケーションもPCもただの箱でしかありません。
また、最近はビッグデータという言葉を聞くようになりました。インターネットのみならず、さまざまな方法で集積されたデータです。会社経営の方針や意思決定にも使われます。また、マーケットの分析、新商品の開発、さまざまな目的で使われ、非常に重要なヒントや知見を導き出してくれるでしょう。それも、すべてデータなのです。



どうしてデータはなくなる

電子化が進むなかで、従来は紙ベースであったものが、データ化されることが多くなりました。紙ベースであれば、鍵のかかった引き出しに保存する、金庫に入れて保管するといった方法がとられていました。しかし、電子化されたデータの場合、どうやってデータを守っていけばいいのでしょうか。
ここでは、まず、データを喪失する具体的な事例から、考えてみたいと思います。
データを喪失する理由は多岐になります。まず、人間故の操作ミスです。これまで、PCなどの電子デバイスを利用してきて、ちょっとした不注意から、本来、必要であるべきデータを誤って削除してしまった経験があるかと思います。
また、USBメモリなどの持ち運び可能な記憶メディアなどの紛失です。手軽に持ち運びできるということは、逆に、どこにでも忘れやすいという逆の面を持っています。なかには、ノートPCごと、どこかに忘れてきた。スマホを置き忘れたといった事例も枚挙にいとまがありません。
残念ながら、このようなミスを防ぐ手段はありません。どんなに注意したつもりでも、人間のやることに100%はありえません。しかし、対策はあります。それについては、追って解説していきたいと思います。


さて、次に考えられるのは、HDDやSSDといった、記憶媒体の障害です。障害には、さまざま種類がありますが、端的な事例では、経年変化による消耗・摩耗などが蓄積し、ある日突然、使用不能になるといった事例です。最近のHDDは、大容量化が進んでいます。つい、いろいろなデータを貯め込みがちです。それが、すべて使用不能になります。状況によっては、かなりの危機的な状況になります。もし、仮に社内で共有フォルダとして使用しているHDDが破損したら、どうなるでしょう。ビジネスに支障が発生するのはまちがいありません。
また、最近は、サイバー攻撃も憂慮すべきことです。2018年になり、やや検知数の減少がみられますが、ランサムウェアなどが該当します。ランサムウェアは、HDDにあるビジネス文書を勝手に暗号化します。暗号化の方法は、かなり高度なレベルが使われており、復号させることはほぼ不可能です。攻撃者は、暗号化を完成させると、画面に脅迫状を表示します。データをもとに戻したければ、仮想通貨を振り込めといってきます。以前、報告された事例では、共有フォルダのビジネスデータがすべて暗号化されてしまったこともあります。業務の停滞を恐れ、身代金を支払ってしまうケースも少なくありません。しかし、正しく復号化できなかった事例も報告されています。

情報流出も大きな問題

データを失うということはありませんが、情報流出も大きな問題になっています。以下の表は、2018年に入ってから発覚した、情報流出事件の一覧です。

2018年に入ってからの情報流出事件の表
表1:2018年に入ってからの情報流出事件(インターネット調べ)

データの喪失が発生することはまれですが、データを守るという意味では、同じように重要な課題となります。
表1にあるように、情報流出の原因は、外部からの不正アクセスがほとんどです。悪意を持った攻撃者が行っています。しかし、要注意なのは、内部の人間による犯行です。ここでいう「内部」とは、社員などのケースもありますが、出入りの業者なども含まれます。内部犯行の場合、対策も難しくなります。もともと、PCを始めとする、情報関連のインフラ自体、性善説に基づいており、悪意に対して脆弱との指摘もあります。対策の1つに社員の意識を高めるといったものがありますが、見た目にわかりやすい成果をあげることが難しい点もあります。

データを守る-冗長化による対策

では、具体的な対策の具体例を紹介したいと思います。データの冗長化です。もっともわかりやすいのは、ミラーリングでしょう。データを保存する際に、複数のHDDなどの記憶装置に書き込みを行う方法です。ミラーリング以外に、RAID(レイド)、ディスクアレイなどとも呼称されます。

ミラーリングの説明図
図1:ミラーリング

寿命によって、一方のHDDに障害が発生しても、他方のHDDが無事であれば、必要なデータを使用することができます。したがって、HDDなどの物理的な障害に対し、有効な対策となります。欠点をあげるとすれば、HDDなどの記憶装置が増えるために、コストがかかることです。しかし、万が一のデータ喪失に備えるためであれば、高いコストとはいえないでしょう。
故障や障害に対しては、有効なミラーリングですが、人間などの操作ミスにはあまり効果が期待できません。もし、HDDからデータを削除してしまうと、他方のHDDのデータも削除されてしまいます。
ミラーリングでデータを削除する説明図
図2:ミラーリングでデータを削除

その削除行為が、正しいものであっても、誤ったものであっても、ミラーリングは同期を取り、データを削除します。この点は、忘れないでおきたいものです。しかし、ミラーリングが、意味のないものではありません。ほかの対策と組み合わせることで、より効果的にもなりえます。そのあたりも、今後、紹介したいと思います。


さて、今回はデータを守っていくことがいかに重要かを説明しました。次回も、データの喪失について、ふれたいと思います。そして、その対策は何か? 具体的な内容をお伝えしたいと思います。


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