*この連載は、「クラウドバックアップとは?」をテーマにバックアップやクラウドの基本から使い方までを分かりやすい内容でお届けしています*


前回で、データの重要性は再確認できたかと思います。では、実際にデータを喪失した場合、どのようなことが想定されるでしょうか。そのリスクについて検討してみたいと思います。


ダウンタイム-業務の停止は、企業にとって死活問題

企業などで、業務データは多岐に登ります。その一部が喪失した場合、どのようなリスクが想定されるでしょうか。まずは、業務活動への影響です。顧客への資料、商品解説、こういったデータが喪失した場合、まず影響がでるのは、営業部門でしょう。個々の社員の記憶で対応できる部分も少なからず存在します。しかし、営業活動に与えるマイナス面は甚大なものとなります。
また、経営資料や財務資料といったデータの喪失は、正確な企業活動を行ううえで、大きな問題となります。日々、さらには月次、年次といった各種の経営データは、経営判断を行ううえで、もっとも重要なデータとなります。会社経営の行く先に大きな暗雲をもたらすものといえます。さらに、財務資料などは、正しい決済を行うために必須のものです。これらを失うことで、再度、資料の再作成などを行うとなると、膨大な手間と時間が必要となります。その作業だけでも、企業経営に多大な影響を与えることになります。


また、通信販売などを自社のサーバーなどで行っている場合を想定してみたいと思います。顧客データ、Webサイトの商品情報などを喪失した場合、サイトの運営が不可能になります。通信販売に限らず、顧客データは、非常に重要なものです。販売機会を失うだけでなく、今後の販売戦略にも大きな影響を及ぼします。
それ以上に問題となるのが、ダウンタイムの長期化です。通信販売などでは、多くのショップが営業を競いあっています。そんななかで、営業活動ができないという状態は、たんに販売機会を失うだけでなく、顧客からの信用の喪失に繋がりかねません。つねに安定して、サイトを運営し、顧客のニーズに応えることが求められます。
このように、データを失うということは、ビジネスにおいて、多大な影響を及ぼしかねません。


データイメージ

自然災害からの復旧も課題

1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災は、非常に大きな被害をもたらしました。こういった災害から、いかにデータを守るかも、重要な課題となります。上述のような大地震だけでなく、火災、水害、事故といった可能性は、少なからず存在します。そういった災害が発生することで、PCをはじめとしたコンピュータ機器も、甚大な被害を被る可能性があります。


具体的には、火災などでは、オフィスの被災と同様にPCが使用不能な状態になることが想定されます。そして、一時的には業務の停止は余儀なくされます。しかし、速やかに平時への復旧が求められます。PCなどのコンピュータでは、こういった対応や予防対策のことをディザスタリカバリと呼びます。
ディザスタリカバリのもっとも重要なポイントは、企業などでの業務継続です。規模の大小を問わず、災害発生でコンピュータシステムが停止した場合でも、的確に復旧させるための実効的な対策を事前に検討し、実行可能な状態にしておく必要があります。この連載では、あまり深くこの機能についてはふれることはできませんが、近年、重要な課題の1つとなっています。


災害イメージ

データを失う対策として

さて、前回、説明したように、データを失う原因に人的なミスがあります。ファイルの上書き、誤った削除、紛失などです。そして、このような原因に対し、人に対して対策を講じることは、簡単ではありません。では、どうすればよいでしょうか。
その答えの1つは、バックアップです。バックアップはさまざまな方法があります(次回で解説します)が、基本的には「データの予備を別に保存しておく」ということになります。たとえば、HDDが損傷しても、データが別の記憶媒体にあれば、そのデータを使うことができます。万が一、誤ってデータを削除しても、バックアップがあれば、そこからデータを復旧(復元、リカバリともいいます)させることができます。


ただし、バックアップにも欠点はあります。バックアップを行った後の変更や新規に作成されたデータについては、復旧できない点です。バックアップは定期的に行うことが一般的ですが、常時、バックアップを行うことはできません。一般的には、1日1回といった頻度が多いでしょう。したがって、一度、バックアップが行われて、次のバックアップが実行されるまでの24時間は、無防備になります。
そこで、組み合わせたい対策がミラーリングです。ミラーリングは、HDDへの変更・修正があれば、即時に反映されます。つまり、新規に作成されたデータなどは、必ず複製が作成され、HDDの障害が発生した場合でも、対応が可能となります。ただし、誤った削除などには、対応できません。


ここで重要なことは、バックアップやミラーリング単体では、防ぐことができないことも、組み合わせることで対策が可能になるという点です。それぞれに長所がありますが、欠点も存在します。そこで、異なる対策を組みわせて、より安全な体制を構築できるようになります。これは、バックアップとミラーリングに限りません。データを守る際に、多重に対策を施すことが互いの欠点を補うことでより安全性を高めます。この連載では、そういった点にも注目してみたいと思います。


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